四国新聞「愛しき日本」より

進歩する中国 IoT時代の速度感


 

四国新聞9月17日朝刊より

(IoT=すべてのものがインターネットにつながる。インターネット・オブ・シングスの頭文字)

 今年は7月、9月と2回、中国上海へ行った。平均して年に1度は中国へ行っているが、このごろの中国の変化は驚くばかりだ。今回は12回目の日中ジャーナリスト会議。2年前にも上海で会議を開いたが、あのときとは中国の様子も、またそれを反映してか議論の内容もまるで違ったものになった。驚くべき進歩、変化を見せているのが「生活面」でのイノベーションである。いつの間にか追いぬかれた日本は、マラソンに例えるならもう3キロほど差をつけられているように思う。

 5日間の上海滞在中に紙幣を見たのは自分の財布の中にあるものだけである。タクシーもアイスクリーム買うのもレストランも、また「モバイク」と呼ばれる貸し自転車も支払いは「ウイーチャットペイ」と呼ばれる決済サービスを使う。すべてスマホ。自転車の鍵も白タクを呼ぶのもみなスマホ。世界で最初に貨幣がなくなるのは中国と話には聞いていたが、もうそうなりかけている。電気自動車(EV)の普及のスピードも世界一。自動運転の電気自動車に試乗したが、中国はすべてにおいて実用化するのが速い。客が一人で入り決済まで処理する無人のコンビニも見てきた。まだ実験段階のようだったが、あっという間に全土に広がるのだろう。

 中国でスマホを試してみるとグーグルとかフェイスブック等米国のものは使用できないものが多い。国家が規制しているからだ。外国人には不便だが、その分、同じような機能のものが中国で何種類もできている。閉ざしたことによって国内が繁栄するという結果になっている。日本はオープンにしているが、気がついてみたらほとんど米国に制覇されてしまった。先進国日本は長い間の積み重ねがあるだけに新しいものを導入するのが遅れ気味になる。中国はいずれガソリン車を廃止するというニュースが駆け巡っていた。ガソリン車やハイブリット車に莫大な時間と費用を投入してきた日本はなかなかそうは行かない。

 日本から見ていると中国は「政治大国」に見える。米国と肩を並べる大国になろうとしているように見えるし、国内では10月の共産党大会を前に熾烈な権力闘争を展開しているように見える。汚職摘発はその一端だし、メディア監視は一段と厳しさを増している、少なくとも日本の報道を見ている限りそう見える。

 どれだけ息苦しいだろうと、中国へ旅立つ前はいつもそう思う。PM2・5など空気も汚れているから息苦しいだろうな、と案ずるのが常だ。ところが、である。空気も雰囲気も息苦しくないのだ。閉塞感ただよう日本のほうが息苦しさを感じるかも知れない。とりわけ日本の群馬県ほどある上海市はどこへ行っても実に綺麗な街である。訪れるたびに中国は豊かに、便利に、そして清潔になっている。

 共産党指導部はともかく、一般の人々を見ている限りこの国は「経済」の国なのだと思わされる。

いかにして手を抜いて楽をするか。アリババの創設者ジャック・マー氏の発想は「いかに怠けるか」にある。中国で急速に進んでいる生活のイノベーションもこの発想から来ている。それにくらべて日本では「いかにそれが問題が多いか」を考え過ぎ、問題を解消してから実用化になるから時間がかかって出遅れる。まず実用化してそれから試行錯誤が中国だ。

 2年前の上海での会議の議論は、経済に関してはまだ幾分日本が優位に立っているような議論だった。資本主義とは、ジャーナリズムとは、日本側が教えてあげようというような雰囲気だった。今回、中国側参加者(日本側8人なのに中国側16人、そのうち10人が若い女性)は日本を責めたり厳しく批判したりしなかった。日本から学ぶべきことはたくさんあると謙虚だった、歴史認識や尖閣諸島、南京虐殺などでつかみ合い寸前の10年前を思い起こせば、感慨深いものがある。一言で言えば、中国は自信を深めたのだろう。会場は名門上海交通大学。江沢民氏の卒業した理科系の大学で、学生達とも交流したが、研究レベルの高さとひたむきさには感心した。かつての日本のような激しい受験戦争に勝ち抜こうと必死で、その姿勢が国家と共通していると感じた。さまざまな面で自信を失いかけている日本は、そろそろ、中国からも何かを学ぶという姿勢が必要なのかもしれないな、と感じて帰ってきた。 

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