四国新聞「愛しき日本」より

憲法改正  国民巻き込む議論へ


四国新聞掲載「愛しき日本」5月9日付けより

安倍首相が憲法改正について重大な発言をした。2020年に改正憲法を施行したいということと憲法9条に新たに第3項を加え、自衛隊の存在を明文化するという内容で、いずれもこれまでに議論さえなかったものである。なぜこの時期にこの内容なのかとさまざまな憶測が飛び交うが、3年後の施行と時期を明示したことから、国民的な議論が巻き起こることは確かだろう。

憲法改正という重大な課題について、改憲派の集会でなぜビデオメッセージなのか、なぜ、首相として国会演説や記者会見の場での意思表明でなかったのかという疑問はある。ただ、憲法は99条で国会議員など国家公務員に対し「憲法を尊重し擁護する」義務を課している。改正の内容にまで踏み込んだ発言は違憲であるという批判をかわすために、あえて私的な会合でのそれもビデオメッセージという形式にしたのではないかと思われる。

私は首相がここまで踏み込んだ発言をするとは想定していなかった。憲法改正に意欲を持っていることは確かだが、国民の半数近い人々の反対がある中では難しいと考えていたはずだ。そのような言葉を聞いたこともある。いまでもその状況認識は変っていのではないかと思う。ならば、なぜこのタイミングでということになる。

一つは北朝鮮情勢。安保法制成立で自衛隊の艦船が米艦船と行動をともにできることになり、早速米空母と共同演習などを実施したが、それに対する世論の反応は決して厳しくなかった。「自衛隊を憲法違反かもしれないという状態から抜け出すために改正憲法で明文化する」という国民的議論を盛り上げるいい機会だと判断したのではないか。そのために改正に反対の強い9条のⅠ項(戦争放棄)2項(戦力の不保持と交戦権の否定)の部分は残して、3項を新たに加えるという考えを述べたのではないか。3項論はこれまで自民党内の議論でもまったくなかった考え方である。自民党憲法改正草案では2項を削除して「国防軍」を明文化するとしていた。

新たに加えるというやり方は、公明党の主張する骨格は残し、必要な項目を加えるという「加憲論」だが、9条改正に慎重な公明党・創価学会に配慮したことは確かだろう。しかし「戦力の保持」否定部分を残したままで自衛隊をどう書き込むのか。自衛隊は戦力ではないのか、いろいろ矛盾が出てくる。

その上で「2020」という東京オリンピックの年に施行という大胆な提示。これはとりもなおさず来年9月の自民党総裁選で3期目の当選をすれば任期が2021年9月まである。その間には天皇陛下退位、新天皇即位、東京オリンピック、そしてその間に衆院選、参院選もある。安倍首相とその側近たちは2021年までのカレンダーに書き込みながら政治日程と政治課題を決めているに違いない。

その上で最終的に国民が憲法改正について意思表示する機会である「国民投票」をいつ行うかまで議論しているはずだ。

これらは政治的にみれば「とらぬ狸の皮算用」に近い。憲法改正を求める世論は以前より弱くなっているし、安倍内閣の支持率も微妙に乱高下している。森友学園問題は連休明けにまた再燃する見通しだが、これを乗り切れるかどうか分からない。また経済の見通しも決して楽観できず、安倍首相が考えているように順風満帆で進むかどうかまったく見通すことができない。

 

同じ憲法改正論者でも中曽根元首相と安倍首相ではかなり違う。中曽根氏は「戦後の日本が繁栄できたのはあの憲法があったからだ」と評価した上で時代に合うように改正すべきだと述べている。安倍首相はかつて「日本人がつくったものではない」と押しつけ憲法論を主張していたことがある。

安倍政権の先行きにいささか危険な状況が待ち受けていると感じているのは安倍首相自身ではないだろうか。いくら引き締めても続発する閣僚らの問題発言。閣僚の答弁を首相が代わりにやらざるを得ないというような状況で、この国会をブジに乗り切れるかどうか。憲法改正は内閣や与党が主導権を握って行うものではない。あくまでも発議は国会なのである。衆参両院の発議に必要な3分の2の議席は改憲派が占めているが、数の論理で強行できるものではない。最低限、野党第1党の民進党の賛成を得る努力をしなければなるまい。国民投票で過半数を獲得するのはそう容易なことではない。

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