山田ゆうすけのブログ

音楽著作権シリーズ⑭ 「JASRACに作品届け」


JASRACには「作品を登録」するのではなく、会員になって「作品届け」するというのが正しい!

少し前に著作権の話でいくつかシリーズ話を書いたが、その後も著作権に関する質問やお便りが多い。とくに私がその筋の専門家ではないが、自分の経験したことの中で知り得たことを書いてみようと思う。そして、今回はいただいた質問に対する「Q & A」の形で書いてみた。

【Q1】シンガーソングライターの花子(仮名)さんからの質問

「いい作品が出来ました。ライブでも評判がよくってもうすぐインディーズでCDも作って発売しようかと思います。ライブハウスのオーナからそれだったら早めにJASRACに登録した方がいいよと言われましたが、登録した方がいいですか?」

【A1】まず、「登録」と言う言葉が違います。一般的に「登     録」という言葉が独り歩きしていますが、JASRACへは、「作品届け」が正しい言い方です。そして、JASRACはその作品管理を委託(信託)された会員(入会費、年会費、手数料が必要)だけから作品届けを受け付けます。(厳密には信託のみと、会員と二つあって解説が必要ですが、ここでは簡単に会員としておきます。)

確かに文化庁では「著作物」の登録を受け付ける制度がありますが、音楽創作物を行政機関に登録するケースはほとんどないと言ってよいでしょう。

特許庁のように「特許」や「実用新案」の登録を獲得して御上(国)に権利を守ってもらうというのとは違います。

【Q2】でも、JASRACに「登録」しないと、自分の権利化できないとみんな言っています。

【A2】結論として、JASRACは「登録」をするところではなく、「作品届け」をして著作権料をもらう仕事を自分の代わりに委託する団体です。

JASRAC(日本音楽著作権協会) 「Q&A」

http://www.jasrac.or.jp/contract/trust/faq.html

著作権は著作物を創作すると同時に発生し、JASRACに作品を届け出ておかないと著作権が認められないわけではありません。極論、だれでも何でも作れば著作権なのです。

【Q3】誰でもすぐに著作権を持てると言われても、ピンときません?

【A3】荒っぽく言うと、著作権はアイデアを具体的「表現」することに認められる権利であって、アイデアそのものに権利が与えられるものではないと言えます。このアイデアとは「思想や感情による創作」を言います。

一方、特許権は、工業所有権とも呼ばれ、技術的な「アイデア」に認められる権利であり、「技術的」なものに限定されます。そして、それを特許庁(国)がその権利を保護します。(タダでは使わせないように)

著作権は、アイデアを外部に具体的に表したものをで、音楽や、写真、小説などを見れば、その具体的な表現ということも理解できると思います。

【Q4】それだったら誰の権利か最初から分かりにくいじゃないですか。

 

【A4】そうですね。まず法律ですが、

著作権法第1章 総則 第3条 (定義規定)3項の中に

(3) 「著作権」とは、著作物の完成とともに発生する著作者人格権および財産的権利をいう。

と規定されていて、誰でも何かを創ったら、すぐにそれはその人の権利になります。つまり、表現の自由に基づいて、著作権は著作物が作られた時点で自然発生します。審査などはない。すごくハードルを低くしてある権利化の規定とも言えます。

そのかわり、勝手に「これは私の作品だ!」と言っていいですが、しばしば「いや私のものだ!」という対抗馬が出てきて争いになることも多いです。

つまり、自然発生的に著作権が得られるが、権利の争いは自分たちで解決しなさいというのが方針です。

そこで、音楽著作権を管理してくれる民間団体を作って、そこに自分の権利を管理してもらうのがJASRACで、お金を払って会員になりそこへ管理して(集金して)もらう作品の情報を「作品届け」する形なのですが、これを「登録」という言葉を間違っているだけです。

【Q5】じゃあ例えばですが、私の作品そっくりの詞やメロディを歌っている人を、盗作だといって訴えたいときにJASRACに「作品届け」を提出していたら一緒に訴訟で戦ってくれるのですね?

【A5】いやすぐにそういうことに直結はしません。

作品を届けた日付けや、内容(詞やメロディ)の一部は証拠物として有効なケースはあるでしょうが、JASRACはあくまでも作品管理を委託され、手数料を徴収して著作権料のを使用料を集めてくる一般社団法人ですので、法廷で自分のために働いてくれる弁護士の立場ではありません。

しかし、管理委託をしている作品で、使用許諾をとらず勝手に使用しているものへは許諾をとって、使用料を払う旨を警告し、委託者の利益を守ろうとする業務は行っています。
もちろん、人手も、費用も限界がありますので、社会的に見過ごせない大きな事案が優先されることはあると言えます。

【Q6】ますますわかりにくくなりました。ではなんのためにJASRACに入会するのですか?

【Q6】繰り返しますが、自分の作品を使用する時にその使用料を集めてもらうための団体で、お役所ではなく「一般社団法人」です。

利用許諾(ライセンス)、利用料の徴収と権利者への分配が主な役割です。

ただ明らかに会員の作品を使っていながら権利者無視の利用者に対して、著作権侵害の監視、著作権侵害者に対する法的責任の追及などを限定した事件では行っているようです。

所轄官庁が文化庁なのでどうしても「お上」というイメージが強いようです。

【Q7】JASRACに入会していないと、そしてJASRACに作品管理をお願いしている立場じゃないとメジャー扱いされないとも聴きました。

【A8】たしかにほとんどのメジャー作家、アーティストが会員になっているので、一つのステータスとして見られることもなくはないと思います。しかし、実際はそうして決めつけるものではないと言えます。

【Q9】すみません。。。やはりわからないです。。。 もう少し理解したいのですが。。。

【A9】わかりました。では、こうしましょう実際の「花子」さんのサクセスストーリとして、物語、ドラマチックに理解しやすいように解説してみましょう。

次号へ続く

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