CDが全く売れなくて、もう時代は音楽配信とは言い、ストリーミングの時代であるとも言うが、CDが売れなくなった時代と言うよりは、音楽がタダになってきたとみるべきであろう。
音楽家の端くれとしてこんな乱暴な話を書くのは辛い。もう少し、正確に表現しなければ…。
音楽をパッケージ化したCDやDVDの値打ちが「タダ同然」になったと言うべきであろう。
そして、タダ同然のCDにだれもお金を払わなくなった、つまりタダは何処にでも転がっているからお金を払わない。パソコンやスマホをクリックすればたちまちお好みの音楽が聴けるのだから誰も買わないはずである。
余談になるけど、先日あるテレビ局の幹部と話す機会があった。「最近はテレビで音楽番組が少なくなった!」と言ったら、「番組を作りたくても音楽番組にはスポンサーが付きにくいのですよ!」と言われた。
なるほど、値打ちの落ちた音楽には宣伝効果も薄いということか…?
まったく同じことが新聞や、雑誌、書籍でも起こっていて紙が売れない時代として流れがシンクロしている。
音楽も紙も、映像も画像もすべて技術的には「情報」「信号」「メモリ」の塊なので科学技術が発達して情報処理技術が飛躍的に安く高品位になったおかげの「副作用」とも言っていいだろう。
難しい技術論は避けるべきであろうが少しだけ触れたい。
音楽がタダになった大きな要因の1つが、MP3の登場だと言える。もともと音楽CDは、1曲(例えば4分の作品)に50MBのメモリ容量を使っていたのだが、それを10分の1に圧縮した技術なのである。メモリ容量が軽くなった分携帯メールに添付などが可能になったわけである。
言い換えると、「1千万画素の写真はたしかにキレイだけど、100万画素で撮ってもだいたいオッケー、そこそこキレイじゃん!」というわけでメモリは10分の1に圧縮できて軽く扱いやすくなるわけである。
加えて簡単にコピーすなわち複製が簡単なのである。かつてのアナログレコードをカセットにダビングする手間と時間(コスト)が飛躍的にかからなくなった。つまり安く、タダ同然で出来るように技術力がしてしまったといった方がいいかもしれない。
さて、こうしてCDが売れない理由をいくら並べてもいわゆる「後出しじゃんけん的評論家」の域をでないことが残念である。
しかし、CDは売れなくなったけど、音楽が売れなくなったわけではない。
こうした負のスパイラルのような話はここらでやめて、これからどうするか?の話に持っていきたい。
CDのような音楽が入った商品が売れなくなり、スマホでそしてイヤホンで聴くような音楽がタダ同然になっただけである。「音楽」すべてがタダになったわけではなく、お金を払って聴きたい、体感したい、共感したいライブ、コンサートのような音楽はまだまだ健在である。
このあたりの話、ブログを読者からもいろいろお便りをいただいているので、もう少し書き続ける。
ではこれからは「音楽」はどうする?についていろんな考え方を前向きに話にしていきたい。