課題曲CD制作プロデューサー/山田ゆうすけによるレコーディング秘話
課題曲2.回転扉/小田純平
上質の時間
昼間のステージを終えてから夜のスタジオ入り。
「おはよーございます!」の声に少し疲れを感じ、「だいじょーぶ?」と声をかけるが、「これからですよ調子が上がるのは!」と人懐っこい顔でいつもの純平スマイル。サングラスの向こうの目が笑っているのがわかる。
1、2テイクとったところで、純平から、
「ゆうすけさん、今のフレーズだけど、このパターンと、すこし変えたのと、どっちがいい?」
と相談された。歌い易いフレーズと、歌いにくいけどカッコいいフレーズ。
「純平さん、そりゃあカッコいい方が絶対いいよ!」と迷わず答えた。
「ありがとうございます。そーだよね!」とガラス越しに納得顔。
最初からそう決めていたくせにと思いながらも、また「ニッ」と純平スマイルに、こちらも「ニッ!」
「出逢った時から~ きっとお互いを~」
サビの素晴らしいフレーズのとき、ふと横で作詞の美和ちゃん(伊藤美和さん)が目を潤ませるように一緒に口ずさんでいる。
名曲『恋月夜』以来、数々の素晴らしい作品を生み出してきたふたり、この『回転扉』もほんとにいい曲で、息がピッタリの作家コンビだなとあらためて納得。
最初から、彼(小田純平)がこう歌うだろうと狙って書かれた詞は強い。ストーリーが伝わるドラマ仕立てだ。
そして、また純平さんが聞いてくる。
「ゆうすけさん、この曲はハモった方がいいよね?」
「いいに決まっているでしょ!」
最初からハモるつもりでいるのに、誰かにそう言って欲しいのだろう・・・。
こうしたやり取りのなかで、気持ちをほぐし、体いや喉を徐々にあたためていく。
昼間のステージとはまた少し気持ちを切り替えていく感じなのだろう。
結局終わってみれば、純平さんへの「合いの手」だけでディレクターの仕事はほとんどしなかったが、不思議な高揚感に包まれた上質の時間であった。
2016年1月26日 シャングリラスタジオ
レコーディング映像
回転扉
作詞:伊藤美和/作曲:小田純平/編曲:矢田部 正/歌唱:小田純平