勝負どころでメロディを決める!その3『だって GIRI GIRI』
こだわりのフレーズでかっこ良く
課題曲の中で最もテンポがあって、ちょっとリズムが激しいロックテイストの曲。「ロックバンドの演奏で気持ち良く歌えそう!」という感想から一転して「実際に歌ってみると難しい!」との意見が多い。
この楽曲こそ、勝負どころでばっちり符割りとメロディを決めるとかっこ良い歌唱になると思うが、しばしばいくつか悩まれているポイントを散見する。
楽譜協力:「月刊歌の手帖2016年8月号」
まずメロディであるが、「だってギリギリ」の後の「いえたぎり」の「いえ」の部分を、「い」をミ(E)で、「え」をシ(B)で歌って欲しいところだが、「い」と「え」が両方ともミ(E)に揃って同じ音程で歌っているケースが見受けられる。後半の「さめ」も同じ。
これではせっかくの低音から高音へ右肩上がりのメロディを歌いあげてインパクトを出したいところが興ざめである。このように下から上に突き上げるようなメロディは難しいとは思うが、ここをがかっこ良い歌になるこだわりのフレーズでもある。
符割りでは、「ぎり」と後半の「フリ」が8分音符の刻みではなく、「ぎ」を4分音符1拍で、同じように「フ」も4分音符1拍で歌っている場合がある。これはかなり間延びした感じで残念な歌唱に聞こえる。
また、ロックテイストはスピード感が重要である。そのためにはパワーが必要で、「ブレス(息継ぎ)」もしっかりしてブレスマーク[V]ポイントでしっかり息を吸いこんで欲しい。
音源を聴いて確認してみよう。最初にこれらの間違ったメロディ、次に正しいメロディ、最後に暁月めぐみさんのオリジナル音源を録音している。
このようにちょっとした符割りとメロディの組み合わせがこの作品の面白さとなっている。暁月めぐみさんのパンチの効いた歌唱で、「ここは外せない」というところのインパクトの重要さを感じていただけたら幸いである。