「世は歌につれ」/歌謡曲ルネサンス
18.歌い手遍歴 その2
島倉千代子後援会、いまでいうファンクラブに入っていたが、人前で彼女の歌を歌うことは基本的にはなかった。
前述したようにコンサートでデュエットしたことはあるが、それ以外にはない。いまも歌わない。
島倉千代子の歌はあの声だから成り立つのであって、ほかのだれが歌ってもうまくは歌えない。
それに「私がいないところで私の歌を歌ったりしないで」と生前、言われたことがある。
まあ、聴くに耐えないということだろうが、「島倉千代子という人生」(新潮社)という本の著者なので、いつも歌っていると思われているらしい。
社会人になりたてのころは、森進一をよく聴いていたし、口ずさんでいた。
「望郷」(橋本淳作詞猪俣公章作曲)(女心のふるさとは 忘れたはずの男の胸よ)、「港町ブルース」(深津武・なかにし礼作詞猪俣公章作曲)「背のびしてみる海峡を 今日も汽笛が遠ざかる」。
たくさん港町が登場する。函館、宮古、釜石、気仙沼、三崎、焼津、御前崎、高知、高松、八幡浜、別府、長崎、枕崎、鹿児島。
「命かれても」(鳥井実作詞彩木雅夫作曲)「「惚れて振られた女の心 あんたなんかにゃ わかるまい」もよく歌った。
「ゆうすげの恋」(中山大三郎作詞作曲)「ゆうすげは淡い黄色よ 夜に咲き 朝に散る花」
「さざんか」(中山大三郎作詞猪俣公章作曲)もよく歌った。このころは森進一の原曲キーでそのまま歌えた。
島倉千代子という人生/田勢康弘 (1999年発売)