「世は歌につれ」/歌謡曲ルネサンス
26.出会えた人出会えなかった人 山崎ハコ
きっかけは「織江の唄」(作詞:五木寛之作曲:山崎ハコ)「遠賀川土手の向こうのぼた山の 三つ並んで見えとらす 信ちゃん 信介しゃん」。
島倉千代子がコンサートで歌う歌は20曲前後。ほかの歌手のカバー曲を入れたくて歌を探していた。
車を運転しながらラジオを聴いていたら、織江の唄が流れてきた。そうだ、これだと思った。
すぐにこの歌を歌って、とCDを持参して聴いてもらった。返事はノー、だった。
この歌は私のイメージに合わない、という。でも歌を選ぶのはまかせるといいましたね。だったら、歌ってください。
押し問答だった。「2番の歌詞に 明日は小倉の夜の蝶 そうやけん 抱いてくれんね 信介しゃんというのがある。これはだめ。歌えない」という。
涙を交えながらの抵抗だ。では、と1回歌って反応を見ることにした。
1回歌ったら評判になり、作曲家の平尾昌晃が「ハコの歌を島倉千代子が歌ってるよ」と人を通して伝えてきた。すっかり評判となり、それから島倉の持ち歌のようになった。
シンガーソングライターのフォーク歌手ハコはそのあと「海鏡」「千代こまち」など島倉のための曲を書いた。
このころハコはギター奏者安田裕美と結婚、ぼくは島倉千代子とともに結婚式に出席した。
ハコ夫妻とつきあい始めてもう20年位になる。一緒に校歌を作ったり、課題曲も作ってもらっている。
歌 山崎ハコ
作詞 田勢康弘
作曲 山崎ハコ
編曲 安田裕美