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「世は歌につれ」/歌謡曲ルネサンス
36.歌い手遍歴その8
放送当日の早朝、スタジオでリハーサルをしていた弦哲也に呼ばれ、何事かと行ってみると「1番を田勢さん歌ってください。」好きな歌なのでカラオケでは何回か歌ったことがあるが、裕次郎とはキーが違うので歌えない。「だめですよ、キーが合わないので」と断ると「これでどうです?」とキーを上げてきた。
「どのぐらいのキー?」「森進一ぐらいです」「それは高いね、わかりました」歌うことになってしまった。ギターで歌うのも初めてだし、リハーサルもない。すぐに本番になってしまった。
あがることはないが、緊張はする。報道番組でキャスターが生で歌を歌うなどということがこれまで世界のどこかであっただろうか、そんな馬鹿げたことを考えていた。ステージと違って張り上げるような歌い方はできない。語るように歌おうと決めて歌った。
このあと、いろいろな人から見ましたよ、聴きましたよ、と言われ恐縮した。中でも「いつも見ているのであの回も」と五木ひろしに言われたときは恥ずかしかった。
歌手だった弦哲也に作曲家への転身を勧めたのが五木ひろしなのである。
弦哲也さんと番組で「北の旅人」を一緒に歌ったとき