課題曲CD制作プロデューサー/山田ゆうすけによるレコーディング秘話
課題曲7.ひまわり海岸/日野美歌
日野美歌さん、またファンになってしまいました。
風邪気味なのか?少しお鼻のグズグズを気にされながらの1~2テイク。
「あれっ?あの『桜が咲いた』のあこがれの歌声は何処へいった?」
日野美歌さんに楽曲を提供したいという10年来の思いを成し遂げようとしていた私は少し出鼻を挫かれたような気持ちになり、スタジオ全体にもなんとなく不安な空気が漂った…。(日野さん今日調子悪いのかな…?)
そのあと、楽譜とにらめっこしながら、ガラス越しにフレーズ単位で細かいメロディやリズムの刻みの確認を10分~15分。
「ここは、ちょっと前の小節から少しハネ気味に突っ込んだ方が感じが出ますよね!」
日野さんの鋭い指摘に、「おっ、そーこなくちゃ!」と、ちょっと安心…。
(そうか、今まではすべてウォーミングアップなのかも)
「じゃあ行きますか!」
のまるで現場監督のような彼女の掛け声は、マイクを通して大きく響いた。
ヘッドフォンを調整しながら背筋がすくっと伸びて、ファイティングポーズのようないでたち。
そして、「ひまわり咲いている~」と3テイク目を一気に歌い上げた。
スタジオ全員が「えっ!?なんじゃコレ!?」と、度肝を抜かれるほどの160Km/h超級の剛速球がド真ん中に飛び込んできた。前の2テイクはいったいなんだったのか?というくらいの感激。
作曲者であり、ディレクターでもある私も、それならばと、
「日野さん、デモ音源でも楽譜でも予定してなかったのですが、ハモりたいですね?」の反撃に、
「いいっすヨ!」と姉御風の返し。
むしろスタジオの周りのスタッフが、私の強引なリクエストに心配顔…。
そして、さらに調子に乗った私のハミング、スキャットなどいろんな欲張り要求を難なくこなし、七色の変化球も交えて歌い終えた姿は、まるで完封勝利で颯爽とマウンドから戻ってくるエースピッチャーのようであった。
それでいて、日野さんの歌に込められた「想い」「優しさ」そしてちょっぴり「哀しさ」を聴かせるハートのある声、歌唱力には舌を巻いた。
日野美歌さん、ありがとうございました。
またファンになってしまいました。
2016年1月26日 シャングリラスタジオ
レコーディング映像
ひまわり海岸
作詞:堀越そのえ/作曲:山田ゆうすけ/編曲:杉山直樹/歌唱:日野美歌