森友学園問題はずっと安定してきた安倍政権をゆさぶっている。二度目の首相就任以来、最大の危機に直面している。そのせいかこのところの首相官邸はどこかぴりぴりした雰囲気に包まれていると多くの政府自民党関係者が口をそろえる。
籠池理事長が記者会見を開き、テレビ各局が中継し、終わりかけたころ、NHKは突然、南スーダンからの自衛隊の撤収ニュース。安倍首相が「危険な状況という理由ではない」と記者団に語った。あまりのタイミングの良さに「森友問題」隠しではないかと受けとめたくなる。籠池理事長の小学校認可申請の取下げと、理事長辞任、それに続く南スーダンのPKO撤退で「解散総選挙ではないか」という疑心暗鬼が政界を駆けまわった。
籠池理事長ら関係者の国会参考人招致を拒否続けるのはかなり難しい。森友問題を取り上げると確実に視聴率が上がるので民放各社はこれからも毎日報道し続けるだろう。きちんとした手続きにのっとった国有地払い下げ、という通り一遍の政府答弁では世論は納得しない。さりとて参考人招致を与党が認めれば、何が飛び出すかわからない。窮鼠猫を噛むのことわざのように洗いざらいぶちまけられたら大変なことになるかもしれないと恐れているのだろう。
後ろめたいところがないのならば、参考人で呼べば済む話だし、民間人の参考人招致は慎重であるべきだ、という建前もこれまで何人もの民間人を参考人として呼んでいることからも言い訳にすぎない。おそらく世論調査の支持率は急落するだろう。そのとき、政局は激変する可能性がある。何がおきてもおかしくないというのが、世界各国に共通していることだ。日本とて例外ではないかもしれない。