「世は歌につれ」/歌謡曲ルネサンス
19.歌い手遍歴 その3
新聞社のワシントン特派員で米国に4年間住んだ。外国で聴く日本の歌は国内で聴いていたころとまったく違う郷愁を誘う。
日本から持っていったたくさんのカセット(まだCDの時代ではなかった)を車で聴いた。
車に乗っている時間が日本よりもはるかに長いので、音楽は絶対必要だった。
その中に都はるみのカセットがあった。
「千年の古都」(吉岡治作詞弦哲也作曲)「約束もなく 日が昏れて 衣笠山に一番星です」を聴いて運転しながら涙をぼろぼろ流したことを覚えている。
ワシントンでは毎週のように週末日本人家庭でカラオケ大会が開かれた。
自分の持ち歌のテープ持参であつまる。あるいは8トラックのカセットで歌うこともあった。
このころの歌仲間はいまでも年に1回集まるが、その人の持ち歌、声などいつまでも覚えているから不思議だ。
新聞・テレビの特派員、大手企業の支店長や駐在員、大使館勤務の外交官、金融関係者などたくさん集まって夜ふけまで歌いまくったものである。