昭和歌謡裏話、こぼれ話

田勢康弘の昭和歌謡裏話、こぼれ話/ 「出会えた人出会えなかった人 井上陽水 その1」


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「世は歌につれ」/歌謡曲ルネサンス

39.出会えた人出会えなかった人 井上陽水 その1

「ようすい」は芸名で本名は「あきみ」

「高知出身なのでねえ、幸徳秋水の親戚じゃないかなどと云われたことがあってねえ。でも嘘ですよ」

「アンドレカンドレ」という歌手名だったころから注目しているが、やはりなんといっても「氷の世界」(作詞作曲:井上陽水)「窓の外ではリンゴ売り 声をからしてリンゴ売り」

詞を書くとき、わざと意味不明なことを書き連ねるようにしているの?と訊いたことがある。「そうねぇ、吉田拓郎がね、同じようなことを言ってましたねえ」「皆さん、お元気ですかぁ」というあの有名なCMと同じトーンで話す。表も裏もすべて井上陽水なのである。
カラオケを2回ほど一緒に歌った。彼は「ワインレッドの心」(作詞:井上陽水作曲:玉置浩二)「もっと勝手に恋したり もっとkissを楽しんだり」自分の歌を歌う。「そうねぇ ほかの人の歌はあまりうたいませんねぇ」

僕の演歌を聴いた陽水は「妙にうまいということでしょうねぇ」とやや意味不明な感想を述べた。
初期のころのバックバンドはあの玉置浩二の「安全地帯」がつとめていたのだから驚くしかない。そのころギターを弾いていた安田裕美が山崎ハコの旦那さんになり、僕もいろいろ世話になっている。
陽水で一番好きなのはなぜか「小春おばさん」(作詞作曲:井上陽水)「風は北風 冬風 だれをさそいに来たのか」だ。不思議な歌だ。でも陽水のすべてがこの曲に入っているように思う。

昨年の「氷の世界」ツアーも聴きにいった。額はだいぶ後退したが、陽水は健在だった。

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