= いまでもいい音で鳴ってくれた! =
久しぶりに我が家に残っていた最後のラジカセで、昔懐かしい自分の編集したテープをかけてみました。うん、確かにいい感じでアナログ的にやわらかいと言えます。それよりも、やはりスピーカから音が流れて、空気を振動させて聴くということが今や珍しくなったことをあらためて認識しました。 (2002年製という15年前のパナソニックのCD、MD、カセット付きが見事に動いたのですから、松下さんはエライ!)これはCDどころか、MDまで内蔵したセミデジタルタイプで、アナログ時代の最後のラジカセですね。。
ラジカセをかけた時、これは「耳」で聴くというより体で聴くつまり一つの「体感」なのではないか!と強く感じました。そもそもヘッドホンで、耳の中の鼓膜にほんの1~2cmのところで大きな音圧を生み出すヘッドホンやイヤホンは、音楽の本質的な部分を欠いている、失っていると思い出しました。音が鳴っている間、テープの回転を目で見たり、スピーカが頑張って音を出してくれているのを愛おしんだり、そこには本質的に人間ぽいものが一杯詰まっている。そして、それが空気を伝わって、リスナーに立体的に届けられるというわけなんですね。
最近CDの売れ行きは激減している代わりに、ライブ、コンサートの音楽ビジネス売上げが好調という理由もこのあたりに共通するのではないでしょうか。音楽ファンは、実際にライブ会場へ出かけて行って、アーティストの演奏、歌唱を直に空気で立体的に体感することに価値観を覚えるのですね。そして、アーティストと、聴衆みんなで何かを「共有」する楽しさがあるんだと思います。そんな中で、もう一度ラジカセを復活させようというプロジェクトには拍手を送りたいです。
いや、復活ではなくて、「新しい時代のラジカセ」を作っていただきたいものです。
そういえば、MDでは、1980年代はじめ(30年近く前)の物でいまかからない不良品がたまにありますよね。一方、1970年代のカセットですが、今もしっかり鳴ってくれます。デジタル絶対の神話の崩れ方は、なんか原子力発電絶対などと似ていますね。