=「3月9日」レミオロメン =
先週から今週にかけてラジオを聴いていると「卒業ソング」の人気曲を特集した番組がいくつもありました。懐かしいところでは、斉藤由貴「卒業」(1985年)、荒井由美「卒業写真」(1975年)など。もう30年から40年以上前の歌なのにいまだに色褪せない素晴らしい作品だと再認識しました。
それがきっかけで、ふとネット検索をすると人気ランキングではどのサイトも「3月9日」レミオロメンをNo.1にあげていました。昔の作品とは対照的なシンプルなところがすごく気に入って、あらためてYOUTUBEでじっくり聴きました。 たしか「1リットルの涙」というテレビドラマで人気が高まった楽曲だったと思います。
この作品は、いま私達音楽を作る人間にとっていろんなことを教えてくれる!と強く感じました。はっきり言って、そろそろカラオケおじちゃん、おばちゃん向けに作られている「教材曲」のような大量生産品も、こういった作品のような、シンプルだけど「心が伝わる」歌にシフトして欲しいと思います。歌い始めは、エレキギターがミディアムテンポでアルペジオと呼ばれるポロンポロン弾きでシンプルに歌います。しかも、あまり抑揚のない、つまりメロディの音程の上下(音域)がそれほどないAメロフレーズを2回繰り返します。そして短いBメロ・ブリッジを経てシンプルな高音部のサビを2回繰り返します。どこをとってもそれほど「ウケ狙い」で作ったメロディやコード展開もありません。サビへの盛り上がりも、ドラム、ベース、ギター(たぶん2本)の4人バンドで実にシンプルなサウンドです。
でもいいのです!。「3月の風に想いを乗せて 桜のつぼみは~」「新たな世界の入り口に立ち 気づいたことは~」この何のてらいも飾りも無いけど、心の中の想いがそのまま詞に現れ、シンプルだけどそれがジーンと伝わる。あれもこれも「てんこ盛りでアレンジされた」分厚い音の伴奏で、エコーたっぷりに歌うカラオケ音楽も決して嫌いじゃないのですが、こうして「卒業」などのいつまでも続くテーマのように、10年、20年いや50年たっても色あせない音楽を作っていきたいと強く念じています。ズバリ「足し算の音楽」ではなく「引き算の良さ」を感じました。せっかくなので、この機会に少し「卒業」の名曲をなぞって行きたいと思います。