【スピーカで聴こう!】
空間認知力と右脳の関係を説明された脳科学者黒川伊保子先生の説をきっかけに、スピーカから伝わる空気振動で音楽を聴くことが音楽にとって大切であるということを前回このシリーズの【3】で書きました。
(前回のURL) https://note.mu/kokoro_uta/n/n9f262e967b67?magazine_key=m859d692f72b4
若くないことがばれてしまいますが、昔は年末の「レコード大賞」「紅白歌合戦」と続く数時間の年中行事は家族みんなで、あるいは親戚が集まってテレビを囲んでみていました。そのころは家族みんなで楽しむ大衆音楽の絶頂期だったと思います。
一方、このブログで何度も触れましたが、テレビやステレオから流れてくる音楽は2~3m離れて聴いていました。まさに、空間を伝わる空気の振動から体感して音楽を自分の中に取り入れていたのですね。立派な「空間認知による右脳への刺激」です。
そして少し時代が進むとステレオからラジカセへとパーソナルユースにオーディオ装置が変化してきて、一挙に1m以下いや50Cm位までスピーカの位置が個人へと近づいてきました。
もうみなさん何を言いたいのか分って頂けると思いますが、こうしてラジカセからウォークマンの人気、普及からスピーカからイヤホンへと人の鼓膜へと音源がどんどん近づいて行きました。
加えて最近はインナー式で耳の穴に突っ込んで聴く方式が当たり前になってきました。ますます右脳を刺激しない音楽の聴き方(音圧という情報だけ)になってしまっています。
黒川先生によると、最近若者のあらゆる生活が右脳を刺激しない、左脳への情報インプットばかりになっていて、少子化も無関係ではないとおっしゃっています。つまり、右脳が刺激され情感が発達すると生物学的には雄も雌も発情しやすくなって、子孫を残そうという意識が高まるそうです。
なんか音楽ビジネスや大衆音楽の衰退とは無関係と思えない流れを感じます。
やはり音楽は体で受け止めて聴くもので、固体メモリーに詰め込んだデータや、通信で流れてくるストリーム信号だけではないと思います。
きっと今の便利さの享受と、自分の好きなものはめんどくさくても出かけて聴くといった半々のミックスモードが音楽発展に必要な気がします。