【レコードは若者には新体験! 】
もう少しアナログオーディオの話にお付き合い下さい。どうしてアナログレコードが急に伸びてきたかという点を、前回少しだけ私なりに推定しましたが、大きく2つにわかれるかな?と思います。
一つは、若者に人気があることだと思います。
確かに、アナログレコードっていちいちターンテーブルに盤を乗っけて、注意深く針を落として音楽を聴きます。そして、多くの場合、必ずと言っていいくらい部屋でスピーカで聴きます。
ジャケットにはいろんな絵やイラストや写真がかっこよくか描かれています。大きな印刷で、読みやすい歌詞カードやアーティストのメッセージも感じ取ることができます。
つまり、電車の中でイヤホンで「てきとーに聴いている…」じゃなくって、部屋で空気の振動を伝わってくる「音」を「音楽」として「空間認知」で目と耳と身体で味わうわけです。終わったら盤をひっくり返します。それも傷つけないように細心の注意を払いながら息をのんでやります。
このめんどうくささが初体験なのです。
音を楽しむまでのプロセス、そして空間の波動が「体感」であり、作り手との「共感」を生むと信じます。何しろ、作り手のこだわりを感じながら、順番に作品を聴いて行くわけですから、MP3でランダムに垂れ流し的に聴くのとはわけが違います。
こうして若者には未体験の、新鮮な価値観に触れるということではないでしょうか。
一方、もう一つは完全に「団塊の世代前後」の人達です。
6月10日に開催されたアナログオーディオフェアにもたくさんの人たちが訪れていたと報じられています。
http://www.stereosound.co.jp/review/article/2017/06/13/57602.html
これは前回書きましたように、たまには手作りの美味しい物を食べてみたいという感覚だと思います。
とにかく、高度成長期を戦い抜いてきて、徹底的にコストパーフォマンスだけを追求した結果が、「価格破壊」「シャッター街の商店街」「なんでも100均化」日本のものつくり産業の低落など。そうしたあらゆることを経験したエルダーたちが、「もう一度いいものを、いい環境で楽しみたい!」と言うことだと思います。
しかしこのブームと、CD売り上げダウン対策の救世主になるか?はまた少し話が遠いような気もします。