「歌のタイトルって同じだったら著作権違反になるんですか?」
一生懸命オリジナル作品創作を頑張っている若いアーティストから尋ねられた。
歌のタイトルは、一般的に単語や単純な言葉を組み合わせたものがほとんどで、楽曲のタイトル(題名)は、著作物にあたらないとされているので同じものでも「基本OK」である。
例えば「桜」という言葉の著作権を認めれば、すべての表現物、文章に「桜」を使えば著作権違反になってしまう。日本語だけではなく、例えばビートルズのポールマッカートニーが作った「Yesterday」も同じで、これを認めれば日常の新聞ですらこの言葉をつかえなくなることからも容易に理解できると思う。
ただし、「基本OK」と書いた理由の一つに、「商標登録」を使ってはいけない注意がある。たとえば「コカコーラの思い出」や「懐かしの三ツ矢サイダーの味」とくれば、これは著作権以前に、企業が商標登録をしているために「基本NG」である。こんどは「基本NG」を出してしまった。場合によってはOKということである。
高校生がこのようなタイトルで、作詞作曲をし、学校の文化祭のステージで「コカコーラの思い出」を歌っても、おそらくコカコーラ社はこの生徒を訴えたりはしないだろう。無料のコンサートで、学内の営利を目的としない非営利活動のある種私的な営みだと解釈すればいいだろう。
ところが、この作品がとても良くできていて、「CD化しレコード会社が売りたい!」となったとたんコカコーラ社にこの商品名の使用許諾を得なければならないし、おそらくロイヤリティという売上パーセンテイジの使用料を契約しなければならない営利のお話になってくると思う。
ディズニーの許可なく勝手にミッキーマウスをプリントしたTシャツを売れないのと同じである。
もう一つは、商標登録でもなく、著作権の問題もなさそうだけれども明らかに世の中みんなが認知している有名な人の名前やグループ名を引用すると問題が生じる。これは、社会的に音楽家としての地位を汚されたとか、おとしめられたとかの問題である。昨年の例であるがこういった事例があった。
2016年5月 水曜日のカンパネラ、抗議受け曲名変更 「ヒカシュー」改め「名無しの権兵衛」
http://www.oricon.co.jp/news/2071420/full/
ボーカルユニットカンパネラが、2013年に発表した楽曲「ヒカシュー」について、ロックバンド・ヒカシューからの抗議を受け曲名を「名無しの権兵衛」に変更した件である。
とにかく、何をタイトルにしても基本OKではあるが、自分がメジャーな作家、アーティストを目指すのであれ、それなりに世の中の規範を守らなければならないということである。