最近、ある友人を介して地方から出てきた歌手からデビューしたいのでプロダクション事務所を紹介してくれと言われた。
正直、「いまどき?」と思うが、まだまだ事務所からレコード会社に推薦してもらって、デビューして、カラオケに作品が入って、テレビに出て、いずれは紅白に!と夢を抱いている人は少なくない。
ご本人はまだ30歳前後…?(もう少しいってるかも)でまだまだ若いけど、しゃべっている内容は、30年くらい前のシンデレラストーリを夢見ている様子。
「ところで、あなたは年間でCDを何枚くらい買いますか?」と聞いたところ
「去年は、1~2枚です」「いえ、お知り合いの歌手の会に応援に行ったのを入れたら10枚くらいは買っています」。
「その、義理で買ったCDは聴きましたか?」
「いえ、全部人にあげました…」
「じゃあ、その1~2枚は?」
「イベントで、歌うのにどうしてもある作品のカラオケ音源が必要だったので…」
「じゃあ日頃はどうやって音楽を聴いて勉強しているの?」
「YOU TUBEがあるから大丈夫です!」
お分りのように、これが歌手を目指す人の一つの実態である。
彼女にはなんの罪もない。でも、自分でCD買わないのに、人にCDを売る商売につきたいと希望する。
買ったCDでもほとんど聴かないのに、自分だけはみんなが支えてくれると自己中的に信じている。
そして、50人~100人くらいの通称「義理ファンクラブ」は必至の思いで作り上げる。
彼女には厳しい話になったが、今の時代音楽ビジネスは「氷河期」と言われるくらい厳しいことを説いた(簡単にわかってくれないと思うが)。そこで、自分の周りに、作詞家、作曲家、編曲家、プロデユーサなどの仲間をあつめ、自分自身がオーナ(社長)になって、自分の音楽ビジネスを盛り立ててくれる「コミュニティ」を作るべきであることを話した。
正に、いま私たち「一般社団法人心を伝える歌の木を植えよう会」が進めている「歌謡曲ルネサンス」が正にそのコミュニティ作りと言える。「選ばれた全国29名こころ歌大使」とネットワークを作り、歌を広める国民運動ともいえる10万人のファン作りによるコミュニティ活動を推進している。
最近、興味深い二つのネット記事に遭遇した。
女優であり、歌手である柴咲コウさんが「Les Trois Graces(レトロワグラース)」という会社を立ち上げた。
これまでの“ファンクラブ”という枠組みを進化させ、より身近に、より密接に、相互に関わり合う場を目指し、彼女が自らオーナとして動き、自分の掲げる理念に賛同して協力してくれる仲間、つまり共感する仲間のコミュニティを作り上げることで、これまでの与えられた「受け身」の自分から脱皮、飛躍したいのだそうだ。
YAHOO JPAN 10月2日「これからの生き方・暮らし方を考える」
https://series.yahoo.co.jp/feature/local/1/
私の下手な説明より、この記事を紹介した方がよかったかも…。
また同じ時期に、おもしろ絵本作家・キングコング 西野氏もブログで「ファン」ではなく、「コミュニティ」を作れと書いている。
https://lineblog.me/nishino/archives/9300560.html?t=1
これまで、大きいモノ(会社、放送局、プロダクション)など上から引っ張り上げてもらう「トップアンドダウン」ではなく、「ボトムアップ」で「自分でバンバンする!」時代なのだ。
ところで、「自分でバンバンてなんですか?」と先日ある女性スタッフに聞かれた?
一人は49歳、もう一人は33歳…。そうか、もうこの人達には通じないくらい年を取ったのだと思った。