CDが全く売れなくて、もう時代は音楽配信、ストリーミングの時代であるとメディアは書き立てる。それはその通りだろう。異論をはさむ余地はない。
少し前の報道ではあるが、全米レコード工業会(RIAA)によると、2016年の音楽ストリーミングによる収益が、他のCDやダウンロードを大きく引き離して米国大手レコード会社の売上高約8,000億円の50%以上を越えて堅調であると報じていた。
https://m.japan.cnet.com/story/35099133/
(CNET JAPAN マーケットニュース4月3日より)
これだけパソコンや、スマホが普及してきてデジタル化、高度な通信技術化が進む世の中になってくると
その科学技術の成果を、すべての人達が便利に享受するのは当たり前のことであろう。
しかし、日本ではなかなか音楽配信は根付かない?
「ダウンロードとストリーミングの違いはなんですか?」と良く聞かれるが、自分がまだそれをやっていないので説得力に欠けるのかなかなか理解してもらえない。
「【ダウンロード】はお金を出して自分のパソコンやスマホに[音源データファイル]を買い取ることです。CDのように[音のデータが入った盤]を買うのではなく、通信回線を使ってデータを例えば1曲200円とか買うわけですね」
「それに対して、【ストリーミング】はNHKのようにお金を払ってFMラジオ放送を聴くような感じだと思います。ただ、たくさんのメニュー(ジャンル、アーティスト別)の中から自分の好きな楽曲を選べますし、そのリストを作って、スマホの中で自分のライブラリ化も可能です。」
と説明しながらも、なぜか自分でもしっくりしていない。
それはなぜか?やはり大人の歌がその方法で普及していないからである。高齢者といっても、もう日本は若者がほとんどいなくなるくらい大人、高齢者の国になるというのに、洋楽とカタカナや英語が支配するJ-POP中心のメニューしかなさそうである。
ちなみに、「 spotify 演歌」「 spotify 歌謡曲」「 spotify 最新歌謡曲」とインプットして検索してみた。
Spotify 演歌
Spotify 歌謡曲
Spotify 最新歌謡曲
Spotifyの公式サイトでは
「Spotifyは、世界1億4000万人以上の音楽ファンに支持されているストリーミングサービス。4000万曲の配信曲と20億以上あるプレイリストをずっと無料で楽しめます。」
とうたっているのに、邦楽の中の演歌、歌謡曲メニューは実に淋しい。
新聞や通販広告である「昭和歌謡ヒット曲全集CDパック」のようなお笑いのメニューである。
また、曲名の紹介や、アーティスト名が英語表記が多いのにもこれまた笑ってしまう。ユーザ無視の付け焼刃的である。
ストリーミングサービスは素晴らしいインフラであるし、しっかりしたプラットフォームビジネスだともいえる。
残念なのは、日本のというか「日本語の歌」「日本の文化」を歌い継がれる作品をしっかりサポートできていないことである。
これは最大のマーケットであるはずの50才~80才の中心的年齢層への音楽ビジネス開拓が出来ていないのである。西洋でうまくいったシステムを、とりあえずローリスクで展開できるメニューのみの準備で様子見というところであろう。
レコード会社はCDが売れなくなるため、配信ビジネスの世界は敵だと思っているのだろうか?
アーティストプロダクションは、もっと積極的にストリーミングサービスを取り込んで、その中に自分たちのビジネスを開拓するチャレンジ精神、コラボレーション企画はないのだろうか?
大手携帯電話通信会社は、これからの高齢者社会の中で、音楽という極めて豊かな感性のあふれる文化、芸術に対し、もっと積極的に踏み込むビジネス手法アイデアは無いのだろうか?
最近電車に乗っていても、けっこう年配者でもしっかりスマホを使いこなしている。知恵を使えば方法はあると思う。