「音楽」すべてがタダになったわけではなく、 CDのような音楽が入った商品が売れなくなり、スマホでそしてイヤホンで聴くような音楽がタダ同然になっただけであると前回書いた。
お金を払って聴きたい、体感したい、共感したいライブ、コンサートのような音楽はまだまだ健在である。
このあたりの話、ブログを読者からもいろいろお便りをいただいた。「日本の音楽産業はもうだめになるのですか!?」とダイレクトなため息質問も少なくなかった…。
残念ながら、正確にその答えを私は持っていない。
しかし、ない知恵を絞りきって、うまくいってないビジネスを立て直すには、うまくいっている成功者を研究するしかないと思っている。
前から気になっていた形として、韓国の音楽産業がある。
実は、前回詳細を書いた、音楽音源の圧縮されたメモリスタイルのMP3は韓国の方が日本より早く発達・普及していたという事実がある。
例えば、韓国ではMP3のある種の著作権規制の合法化を対応したり、YOU TUBEなどの動画配信に対する規制も緩やかであったと聞く。
つまり国を挙げて、K-POPのプロモーションを行い、グローバル化していったのである。もちろん、K-POPがすぐに日本やアメリカの市場の多くを制覇したとは言えないが、少なくても彼らはアジアを制した。
韓国のゴルフや、オリンピック選手が国の養成でメジャーになったり、韓流映画の人気がグローバルに流行ったり国策に依ることはご存知の方も多いであろう。音楽もそうなのである。
上海、香港、台北、シンガポール、バンコクでは、日本のJ-POPより韓国のK-POPの方がメジャーなのである。
韓国は日本に比べて国内消費サイズは小さい。韓国経済を大きく成長させるためには、世界市場で人気を得て大きなマーケットに韓国製品をヒットさせるためには「サムソン」や「現代自動車」「LG」などの製品の広告、イメージアップ作戦にK-POPを使ったと言える。
そして、あるアーティストが流行するとまず彼らに関連する商品、DVD やCD、キャラクターグッズの販売が増加し、またそれらの影響をうまくからめたコマーシャルやプロモーションで商品が売れ、あらゆる角度から韓国ビジネスのチャンスが増える。
まさに、音楽と韓国産業のエコシステムビジネスと言える。例えば、少し前に「少女時代」が日本デビュー時に約2 万人の観客を集めたのも、YouTubeをはじめ、ITやSNSをうまく使いながら、韓国の輸出産業のコマーシャルに彼女らをうまく使った。このような例はいくつも上げることができる。
振り返って、これらは韓国だけの知恵の勝利なのか?というと、日本にも立派な実績と歴史を探索することが出来る。昭和の日本の大衆歌謡はどうだっただろう?
とくに、戦後の高度成長期は、「行け行けどんどん」で、日本の多くの電機メーカが自らレコード会社を支えて「ソフト(音楽)」を作り、それを聴くための装置である「ラジオ、テレビ、ステレオセット」を大量生産して販売し、それをプロモーションする放送局、新分野雑誌などのメディアにたくさんの広告費を出していた。
「風が吹けば桶屋が儲かる」といういわゆる「エコシステム」という循環作用による経済ループがうまく回っていた。つまり、大衆音楽が育つための環境を産業が経済活性化のための宣伝としてうまく機能していたという極論もできる。そのころの潤った音楽産業は、いろいろ「遊びやチャレンジ」ができたとし、まだ国民の趣向が「映画」「テレビ・ラジオ」「レコード」くらいしかなかったことも相まって、大きな需要と供給の成長バランスが成立していたのではないか。
韓国との違いは、当時の日本は国内向けだけで巨大なマーケットがあったということと、韓国政府の役割を当時の財閥系大企業(三菱さんや、東芝さんなど)や、戦後の大成功で巨大化したベンチャー大企業(ソニーさんや、松下さんなど)が仕切ったということではないだろうか。
この話、明日の音楽界の明るさを展望したく、もうしばらく続く。