トークセッション

【全日本こころの歌謡選手権大会】課題曲トークセッション〜金色の蝶〜


「金色の蝶」の作成者が曲に対する思い、作成秘話についてのトークセッションです。
楽曲が出来上がる過程を作家陣(作詞、作曲、編曲)と歌手が一堂に会して後日語り合うという滅多にない大変貴重な動画です。
特にラストの花木さち子さん圧巻の生歌は必見です。

「金色の蝶」トークセッション動画はこちら

作詞家 堀越そのえ、作曲家 山田ゆうすけ、編曲家 杉山直樹、歌手 花木さち子
司会進行/田勢康弘代表理事

日にち:2016年6月7日
場所: 銀座・シャンソンバーボンボン

田勢康弘代表(以下、田勢)
全日本こころの歌謡選手権大会の課題曲の一つであります「金色の蝶」この歌をお作りになった人、歌っていただいた人といろいろとお話をしてみたいと思います。

私は、この詞を最初に見たときに、びっくりしましてね。なぜびっくりしたかと言いますと・・・これは死んでいこうとする人の歌ですよね。まず、そういう歌が今までに有っただろうかと。若干近いような歌は有ったと思いますが・・・新井満さんが作った「千の風になって」とか。あの曲とはちょっと違うかな・・・。

それで、私たちは、心を伝える歌を作ることが目的ですので、あーこういうことなんじゃないかと思ったのですが、それと同時に、誰がこれに曲をつけるんだろう?誰が編曲するんだろう?何よりも誰が歌うんだろう?と思っていましたね。

(堀越さん)この詞に込めた思いというのはどういうものでしたか?


田勢康弘代表理事

作詞家/堀越そのえ(以下、堀越)
この10年くらいの間に、身内が亡くなったり、東日本大震災があって、亡くなった人を見る機会が多かったんですね。それで、自分がもし今死んだとしたら、その時に、家族とか友達にメッセージのようなものを残して死んでいきたいなぁと思っていたんですね。
それをちょっと詞にしてみたいというのが最初の動機です。

田勢
何よりも、冒頭の「泣きながら産まれてきたから、最後は微笑んでいきます」という、あの言葉がすごい表現だなぁと思って・・・。

堀越
誰しも、生まれるときはオギャーと泣きながら産まれてくるんですけど、死ぬ時に本当に微笑んで死ねるかどうかというのは、私もまだ死んだことがないのでわからないのですけど・・・
ただ、そうありたいなって、そういう心持ちで穏やかに死んでいきたいなという気持ちはみんな共通ではないかと思います。


作詞家 堀越そのえ

田勢
その後に、「大丈夫、向こうに待つ人がいるから」っていう表現があるじゃないですか。あれはやっぱり、この詞を読んでみて、あぁそうなんだなと、死ぬからといってひとりじゃないんだなと、そんな感じしましたね。いずれにしても、少し恐ろしいくらいの詞でしたね。

堀越
待つ人というと、私の場合は、亡くなった弟がいるんですけど・・・ あと、おじいちゃん、おばあちゃんとかいて、必ず、迎えに来てくれるかなぁって思える人がいて、死ぬっていうのは怖くないというのが自分の中にあるんですね。

田勢
その詞に、作曲家の山田ゆうすけさんが曲をつけられたんですが、(山田さん)苦労しましたか?

作曲家/山田ゆうすけ(以下、山田)
苦労しましたねぇ(笑)。
読んでいて凄い詞だなと思うのですけど、これを歌にするにはどうしたらよいのか・・・?
天に舞い上がっていくように高い周波数で歌を作ってくださいっていう要求が(堀越さんから)ありまして、まぁ確かにそうだなって思って。で、、、
三つボツになったのかな?今歌われているものが四つ目とかで、、最初の頃は、これダメって感じで・・・。


作曲家 山田ゆうすけ

田勢
あっ、そんなに書き直したんですね。
仏教の世界ではね、あの世っていうのは金色なんですけど、それを意識しての「金色の蝶」なんですか?仏壇が金色なのはそのためなんですよね。

堀越
無意識だったかもしれませんけど・・・。
亡くなったら人の魂は光になるっていうのを何かの本で読んだことがあって、光を色で表現しようと思うと一番良いのが金色ではないかなと思いました。

田勢
この曲は、明るい曲なんだけれども、こぉ、、、哀しみが漂っているような、不思議な曲ですね。

山田
(堀越)そのえさんに気に入っていただけるまで時間はかかりましたけども、その後、自分でデモを歌っていても、歌える人がいるかな?っていうことを正直思いましたね。

田勢
それを、杉山さんが編曲されたんですけど、苦労はありましたか?

編曲家/杉山直樹(以下、杉山)
ありました(一同 笑)。
とにかく、「金色の蝶」って言われた時に、、、見たことありませんよね。

「金色の蝶」ってなんだろう?って思って・・・。インターネットで調べてみたのですが、マンガみたいのしか出てこなくて。

でも、歌詞の世界感が凄いものなので、、、とにかく、金色の蝶を舞わせなければいけない、金色の蝶が舞っている姿、それが自分の中にあって、この曲を自分がやる意義はそれしかないというので、毎日、金色の蝶ってどうやって飛ぶんだろうか?とか、どういう音なんだろう?とか、それをずーっと探って。
それで、実はサビでロングトーンが、バックでキラキラしたのがあって(金色の蝶が)舞っているんですが、あの音が出てきたときに、できた!これだ! と。


編曲家 杉山直樹

田勢
それで、こんなに難しい不思議な歌を誰が歌うんだろうと思っていて、花木さんに歌っていただいて、レコーディングの時にこれまたビックリしましたね。
この人が歌うことを前提に作ったのではないかと、、、(花木さん)どうでしたか?歌って。

歌手/花木さち子(以下、花木)
とても難しい、楽曲として難しい歌なので、そこは大変でしたけど・・・
私が普段歌ってるヨーロッパや南アメリカ大陸の歌には、意外と死生観を綴っているものが多いので、そこは全然抵抗がなかったですし、常々、私の考えとして、死ぬことを考えないとちゃんと生きられないんだというものがあります。

また何よりも恋愛の歌は多いじゃないですか、でも、恋愛っていうのは人生でゼロの人もいるでしょうし、1回の人も100回恋愛する人もいるでしょうけど、でも、「死」は、みんなに平等に人生の最後に1回訪れるもので、だから全員が歌う資格があるんだなぁって凄く思いました。

田勢
僕は、ポルトガルのファドが好きで、ポルトガルにファドを聴きに行ったりもしているんですけど、やっぱり、死が重要なテーマになっているんですよね。

純粋な日本の歌だけに限って言うと、あんまり死がテーマになっている歌っていうのは無いですよね。敢えて避けているんだと思うんですけど、、、こんな重要なテーマを歌にしないっていうのは、どういうことなんだろうなぁと・・・。

花木
そういう意味ではエポックメイキングな歌なんだろうなと思います。


歌手 花木さち子

田勢
何よりも、通常、今日本で歌が作られるプロセスというのは、レコード会社が、この歌手のためにこういう詞を書いてくださいと作詞家に頼んで、作詞家が詞を書く、それをFAXで作曲家のところに送る、作曲家がその詞を見て曲をつける、それを編曲者のところに行ってアレンジすると、で、2~3回練習して歌ってくださいといって歌う、これが一般的なやり方ですね。

そういうことも変えていきたいというのが我々の狙いの一つなんだけれども、やっぱり、色んな所でサプライズがあってみんな驚いているんですよ。そうすると、詞を書いた段階と、花木さんが歌っている時では違うものになっているでしょ?

堀越
ぜんぜん違いますね。想像を超えるというか・・・
「詞」というのは紙の上に「押し花」のように並べている状態なんですね。
それを、作曲家の先生とか編曲家の先生がお水を与えてくださることで立ち上がってくる本物の「花」になるんですけど、さらに歌手の方がそれに命を吹き込んでくださると、「華」になるんですよね。
そういうのが今回本当に感じました。

田勢
これ、ひょっとするとね、よく結婚式で歌われる歌ってありますよね。これ、お葬式で歌われる歌になるかもしれないですね。

堀越
実は、自分の告別式でこれをかけたいと思って作った歌なんですよ。

田勢
僕もそう思いましたよ。僕も自分のお葬式でね・・・今までは、モーツァルトかなにかかけて死にたいと思っていたけど、変えようかなと思うくらい凄い歌でしたね。

どうですか? 山田さん、この歌できあがってみて・・・作曲家として、ちょっと違ったものになりましたか?

山田
自分の作品の中でも確かにちょっと変わっていますよね。
さっきもそうですが、レコーディングの時も歌ってもらって、自分が作った歌で歌手の人に歌ってもらって、鳥肌が立つってあんまり無いんですよ。これ結構ゾクッときましたね。

特に、(堀越)そのえさんが仰った、舞い上がっていくところのメロディ、ここはゾクゾクっとして、、、そういう意味では嬉しい体験でしたね。

田勢
「向こうに待つ人がいるから」っていうあの下りの花木さんの声が、あの歌詞にぴったり合ってるんですよね。だから凄い歌になったなと思いますね。

山田
私は、この詞の中で、「許せないあの人」とか色々ある中で、「愛しい傷跡」・・・この表現は凄いなぁと思って・・・。
これは詞から生まれた良い作品の典型的なものだと思いますね。

田勢
色んな意味でこの歌は結構残る歌ですね。
表現は良くないのですけど、ペラペラっとした歌が多い中で、この歌は凄いでしょ。


左から、作詞家 堀越そのえ、田勢康弘代表理事、歌手 花木さち子、
作曲家 山田ゆうすけ、編曲家 杉山直樹

「金色の蝶」トークセッション動画はこちら

「Heartful Song ~こころ歌~」 全日本こころの歌謡選手権大会課題曲集 試聴はこちら