田勢康弘のブログ

「トランプ」1年 “天才” 大統領の陰と光


「トランプ」1年 “天才” 大統領の陰と光

「トランプ」1年 “天才” 大統領の陰と光  四国新聞「愛しき日本」1月21日より

「まだ?」と思うか「もう?」と感じるか。トランプ米大統領が就任してから1年になる。ワシントンもリンカーンもケネディも、もちろん、任期途中で辞任したニクソンさえも、墓の下で飛び上がって驚いているに違いない。政府高官ポストの半数がまだ埋まらない非常識なことばかりがいつまでも続くはずがない、と言われ続けながら、一定の支持率(39%)で支持基盤は強固だ。北朝鮮情勢の恐ろしさは何を考えているのかわからない北の指導者と、何も考えていなそうな米国の指導者が睨み合っているところにある。

トランプ大統領の特徴の一つは演説やツイッターで使う言葉の下品さにある。日本であれば間違いなく閣僚辞任に追い込まれそうな差別的発言や、「米俗語辞典」を引くと「絶対使わないほうがいい」と注意書きしてあるような言葉を使う。日本ではそれを放送禁止にならないような日本語に言い換えているため、その下品さが伝わらないが、英語圏の知識人たちは頭を抱えている。
自分を批判するメディアの伝える情報を「フェイク(うそ)ニュース」と決めつけ、昨年のフェイクニュース大賞まで発表した。メディアの批判が支持率に影響していないのは、そもそもトランプ支持者は新聞を読まない、テレビを信用していないからだと言われている。
自分のことを「とても精神的に安定した天才」とツイッターに書き込む。ノーベル賞受賞の経済学者クルーグマン氏は「この偉大な国をつくりあげるのに200年以上もかかったのだから『とても安定した天才』をもってしても、完璧に破滅させるのには2、3年を要するだろう」(ニューヨーク・タイムズー朝日新聞抄訳)と痛烈に皮肉っている。

最大の驚きは「イスラエルの米国大使館を現在のテルアビブからエルサレムへ移す」という発言である。米国議会はその通りの決議を以前からしているが、中東和平のために歴代大統領はその通りに実行しないでいままで来た。イスラエルと対立するパレスチナはもちろん、アラブ全体を敵に回すし、何よりも米国が中東和平の仲介者の座から降りることになる。世界中が首をかしげる様なことをなぜ言うのか。それはこの発言は米国内で好意的に受け止める人のほうが多いからである。ユダヤ社会だけではなく伝統的キリスト教徒も支持している。つまり国内世論ばかりを気にする大統領にとっては「米国第一主義」に沿うことなのである。

だれもが首をかしげるような大統領ではあるが、米国経済はすこぶる好調である。ニューヨークの株高が世界中の株価を押し上げ、そのおかげで日本も30年ぶりの相場とはしゃいでいる。これはアベノミクスの効果などではなく、トランプ効果なのである。北朝鮮も平昌五輪への微笑作戦などを見ているとトランプ流の威嚇が奏功しているようにも見える。ただ、無節操なところのある指導者だけに、直接会う人物と意気投合しそうな恐ろしさがある。もしトランプ・金正恩会談が行われるようなことがあると、互いに髪型を褒めながら、「米国まで届くようなI長距離弾道ミサイル(ICBM)さえ廃棄すれば核保有は認めてもいい」などと取引しかねない不安がつきまとう。

日本記者クラブの「今年の予測アンケート」に「12月31日現在の米大統領はトランプ氏で」「ある」「ない」という設問が入った。これは任期半ばでやめて欲しいという声が米国で強いことを反映したものだ。一つの可能性はロシアゲートをきっかけにした議会の弾劾。下院の過半数、上院3分の2。上院の決議が裁判の判決となって大統領解任となるが、これまでに44人の大統領でだれもいない。ニクソン大統領は弾劾手続きの途中で辞任している。
しかしこの可能性はかなり低い。そこでささやかれているのは修正憲法25条による解任である。それは副大統領を含む全閣僚の半数が「大統領不適任」という決議に署名すれば解任できるという方法がある。いずれにしろ米国民がどう判断するかにかかっている。11月の中間選挙は与党共和党が上下両院で少数党に転落する可能性が高い。トランプ政権のきりもみ状態は続く。問われるのはそのトランプ大統領と命運をともにしている日本の姿勢である。

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