昭和歌謡裏話、こぼれ話

田勢康弘の昭和歌謡裏話、こぼれ話/ 「歌い手遍歴その6」


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「世は歌につれ」/歌謡曲ルネサンス

34.歌い手遍歴その6

新潟県長岡市。昔から田中角栄の取材で何度も来たことのある街だ。
2011年2月、その街の「長岡市立劇場」のステージで歌った。僕もメンバーになっている「エンジン01文化戦略会議」主催の「長岡音楽祭」、わかりやすく言えば、メンバー(ほとんど有名人)のカラオケ大会である。
演出はメンバーの秋元康。司会は中井美穂とパティシエの鎧塚俊彦。
会場はお客さん1500人程で満員。出場者メンバーは30人ほど、いずれも時間を見つけては特訓。
ぼくは五木ひろしの「細雪」(作詞:吉岡治作曲:市川昭介)「泣いてあなたの背中に投げた 憎みきれない 雪の玉」を歌った。

演出の秋元康が「雪をふらせて雰囲気作るから着物で歌って」という。歌い始めてすぐ、会場がどよめいているのがわかった。声が劇場の奥まで届いて戻ってくる。この「返り」が大事なのだ。
ああ、うまくいっていると気持ちが落ち着き、高音の張り上げる部分が思ったよりずっとよく伸びる。
五木ひろしの原曲より半音上げたのがよかったのだ。すごい拍手をもらった。
司会の鎧塚俊彦が「いやぁ、万馬券が出ましたね」と叫んだのを覚えている。事前の上位入賞者の予想の中には入っていなかったのだろう。
審査委員長の秋元康がこう言った。「草野球の大会に一人甲子園経験者が出たようなもの。」
審査員の池坊美佳は「こわそうな人だと思っていたけど、そうでないことがわかりました。」

審査結果は準グランプリで。寺泊の魚介類が賞品としてしばらくして大量に届いた。
グランプリは「愛の讃歌」を歌った有名な医師の亀井眞樹。これは実にうまかった。
作家の林真理子が歌ったときには、本物のAKB48のメンバーがバックコーラスで出てきて、事前に知らされていない観客は大騒ぎ。広瀬香美らも出てきたり、さすがに秋元演出で盛り上がりはすごかった。

この出演はぼくを再び歌謡曲の世界に引きずり込むきっかけとなった。
演出と審査を受け持つ秋元康があまりにも多忙のため、この手の音楽祭は「甲府音楽祭」を最後に行われていない。
鳥取では水森かおりの「鳥取砂丘」(作詞:木下龍太郎作曲:弦哲也)「塩の匂いに包まれながら 砂に埋もれて眠りたい」を歌うつもりで準備していたが、直前に中止になり、砂丘マラソンになった。


長岡音楽祭当日の様子

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