= 耳はアンテナ =
いい耳を持っていれば歌が上手くなると書きました。カラオケ大会の例で少しお話します。みなさんカラオケ喫茶やカラオケボックスで手軽に歌を歌える時代になり、しかも「うまい!」とか言われていい気持ちになる。まさに「1億総歌手時代」ですね。いや、本当にうまい方が増えてきました。
しかしここにカラオケの大きな落とし穴があると思うんです。発表会のステージなどで一生懸命歌ってはいるが、バックに流れているカラオケの音楽などはそれほどきちんと聴きとっていない人を見かけます。無理もないですよね。いつも聴きなれている伴奏音楽がいつものように流れているわけですから。それほど注意深く伴奏を聴かなくっても「鳴っている音」に慣れているから…。それよりもいかにうまく歌おうかと自分の声を出すことに必死なのです。まるで脇役を無視した主役のように…。でもこれが良くないと思うのです。
調べてみると音は外耳から入り、鼓膜といういわばマイクに音と振動が伝わり、小骨3つを通して最終的には内耳に伝わって、さらに聴神経から大脳に伝わり知覚・認知されるらしいです。まさに、耳は音を客観的に聴き取って、脳が口に命令するための「受信用アンテナ」とも言えます。このアンテナの性能がかなり歌を左右し、脳の命令に大きく影響すると言いたいのです。
ただし、カラオケ喫茶で間違った人の歌でおぼえるのは最悪です。やはりしっかりオリジナル曲を良く聞いて、出来れば楽譜をしっかり見て音の高さやタイミングを視覚でも捕えることが上達の基本だとも思います。耳と言うマイク、いやアンテナが高感度にすべての音をキャッチして「もうちょっとこう歌おう」とか、「サビは少し大きく張ってみよう」とかを20勝ピッチャーのようにうまくコントロールできる人がうまくなると言いたいのです。もちろん、カラオケ大会のステージだけの話ではなく、日ごろの練習や、新しい曲を覚える段階からしっかり聴き取って歌うことが上手くなる近道と思っています。では、何をどう聴き取るのか? もう少しこのテーマで書いてみたいと思います。