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「ブログに歌詞を載せちゃダメなんでしょうか?!」。仲よくしている音楽仲間から電話をもらった。もちろん、自分の未発表作品のことではなく、世の中でみんなが知っている「ヒット楽曲」のことである。
10年くらい前の私であれば、「直接それで商売をしようとしているのでなければいいんじゃない!?」なんて無責任なアドバイスをしたかもしれない。
結論、今はダメである。(いや、前からダメなのだが、最近のSNSの驚異的な発達のためによりこの問題がクローズアップされ、厳しくなってきた。)
Face BookやLine、Twitterなど最近はSNSの展開はすごい勢いである。
ブログなどに「ヒット曲」の歌詞の引用などは、したくなるものである。しかし、ヒット曲でなくとも、人の作品は、人の「財産」であって勝手に使えないという話。
いや、言い方を変えよう。使ってもいいが、「許諾」が必要なのと、その使用目的によって、「対価(使用料)」を払わなくてはいけないということが着地点である。
分かりやすくまとめると、以下の場合は無断で、無料では使用できないということのようである。
1.歌詞を最初から最後まで丸ごと載せるのは作詩家の複製権(コピーする権利)を侵害しているのでNG。もちろん、JASRACなどの著作権を管理している窓口に申請し、使用料を払えばOK。
2.楽曲の本の1行だけという部分引用でも、それが明らかにヒット曲のそれを容易に推定でき、結局その狙いで引用されている場合はNG。つまり、その作品の独創的な部分を使っているという判断になりやすい。
では、絶対だめなのか?というと著作権法には次のような条文(32条1項)がある。
著作権情報センターHP
http://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime7.html
「 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。」
この条文に書かれている「引用」であれば、歌詞を載せてもOKなのだが、実際どこからどこまでが「引用」となるのか…難しい。過去の裁判の判例から
・明確区分性がハッキリとしているか
・主従関係がハッキリとしているか
というポイントを説明している書物や、ネット情報も多い。明確区分性とは、自分が書いた文章と、引用した歌詞を歌詞を「」で括って、出典を表記し、「これはXXさんの著作物からの引用ですよ」と明確にすればOKらしい。
また、主従関係とは、自分の文章が主であくまでも引用は「オマケ」でありメインディッシュにはなっていないのであれば原則として著作権の侵害はセーフということらしい。
しかし、こんなことはなかなか判断できないからやめておいた方がいいという結論になる。
あるいは、きちんとJASRAC等著作権管理団体に使用許諾と対価を払って使えばよいということである。(そのコストと手間が成立すれば)
JASRAC情報URL
最近のこの関係でニュースを賑わしたのは、京大のホームページに「ボブディラン」の歌詞を引用したケースである。
これは、著作権法第32条で許された「引用」にあたるようで、JASRACは認めるニュースが発表されていた。
朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/ASK5S52D8K5SUCLV00C.html
筆者は、自らが著作物を創作することを生業とする作家の立場でありながら、同時にそれを仲間と一緒にいろんな形で展開(使用)していってる立場なので、単純に「権利主張」のみで語れない複雑な気持ちが正直である。
本音として、悪戯に、「欧米の契約社会に右へ倣え」ではなく、日本、いやアジアの我々の社会とのミックスモードというか、中庸の施策が必要ではないかと思う。そうでないと、いつまでたっても「音楽産業の負のスパイラル」からは抜け出せないだろう。
つまり、「使ったら金払え!」だけではなく、「こんなに安いんだから使わなきゃ損だよ!」という折衷案で、ハードルを低くしてどんどん使ってもらい、ビジネスを拡大すべきではないか。